インターバル速歩など、ややきつい運動の後30分以内に、糖質・乳タンパクを摂取すれば、熱中症になりにくい体になることが分かっています。若年成人で体重60kgの方を対象に、最大体力の70%に相当する強度の自転車運動を1日30分5日間行い、それぞれの日の運動後30分以内に糖質35g、乳タンパク20g摂取させた群 (9名) とさせない群 (9名)で血液の水分量(血漿量)、血漿アルブミン量を比較しました。その結果、糖質・蛋白質を摂取した群では、摂取しない群に比べ、血漿量、血漿アルブミン量の増加量が倍だったのです(図左)。さらに、それぞれの群で運動時の体温上昇に対する皮膚血管の拡張度、発汗速度を測定してみると、摂取した群ではしない群に比べ3倍にそれぞれの反応が亢進していたのです(図右)。この糖質・蛋白質の摂取量は、少し糖質が少なくなるものの牛乳ならコップ2~4杯分で、一日の食事によるカロリーの5-10%、タンパク質摂取量の10-30%に相当し、決して多い量ではありません。同様の結果を高齢者でも確認しています。
Goto M, Okazaki K, Kamijo Y, Ikegawa S, Masuki S, and Nose H: Protein and carbohydrate supplementation during 5-day aerobic training enhanced plasma volume expansion and thermoregulatory adaptation in young men. J. Appl. Physiol. 109: 1255, 2010.