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科学的エビデンスが支えるインターバル速歩 NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター 理事長 信州大学大学院特任教授 医学博士 能勢 博

加齢による体力低下が生活習慣病の原因

ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下していきます。それは、いかだに乗って大河を下っていくようなもので、本人は気づきませんが、着実に下流に流されているのです。大切なのは、この体力の低下に比例して医療費が増加することです。この医療費の増加は、高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病によるものがほとんどです。そこで、私たちは、この加齢による体力低下を防止することで、これらの疾病を予防できると考えました。

加齢による体力低下を防ぐに「インターバル速歩」がおすすめ

アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。そうすれば6カ月で体力が10%向上し、それに比例して生活習慣病の症状が改善する、というのです。さらに、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて、効果が上がらない、ともいっています。従来、このような個人の体力にあった個別運動プログラムを実施するには、まずジムに行って、専門のトレーナーに自分の最大体力を測定してもらい、それに合わせてトレッドミルなどのマシンを用いた個別運動プログラムを作成してもらうのが基本です。でも、これには費用が高くつくという欠点がありました。インフラ整備費やトレーナーの人件費が会費に含まれるからです。さらに、決められた時間と場所に行かねばならない、という不便さもあります。
そこで誕生したのが「インターバル速歩」です。いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、体力向上のための運動トレーニングができます。特徴は、1)熟大メイト、2)インターバル速歩、3)e-Health Promotion System です。まず熟大メイトですが、これによって、マシンがなくても最大体力が測定でき、日々の運動強度が正確に記録できます。次にインターバル速歩ですが、これは、最大体力の70%以上に相当する「速歩」と、40%以下の「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、週に4日以上行いますが、ウィークデ―が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が週60分になるように実施してもいいです。最後にe-Health Promotion Systemですが、これによって、日々のトレーニング記録をインターネット経由でサーバーに送り、折り返し個別運動指導をうけることができます。

国の内外から注目の効果

インターバル速歩を5ヶ月間行えば、1)体力が最大20%増加し、2)生活習慣病指標が20%改善し、3)医療費が20%抑制されることが明らかになりました。私たちはこれを「20%の法則」と呼びます。そして、この体力の向上に伴い、抑うつ気分、睡眠の質、交友関係の改善など生活全般の質が向上することもわかりました。さらに、これらの効果を裏付ける分子生物学的エビデンスも明らかになりつつあります。以上から、インターバル速歩は疾病の予防だけでなく治療の一手段として国の内外から注目を集めています。
これらの結果に加え、最近、食品との併用効果も注目されています。インターバル速歩のようなややきつい運動の直後に乳たんぱくと糖質を摂取すると、熱中症予防や筋力向上に効果があることもわかったのです。この結果に基づき、平成25年3月に明治(株)から乳たんぱくを強化した「スポーツミルク」が発売されたのはうれしいことです。

皆さんも私たちと一緒にインターバル速歩を始めてみませんか。