健康増進に効果的といわれるウォーキング。しかし近年の研究で、ウォーキングだけでは筋力・持久力の向上が見込めないことがわかってきました。そこで開発されたのが『インターバル速歩』です。インターバル速歩とは、「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分間ずつ交互に繰り返すウォーキング法。筋肉に負荷をかける「さっさか歩き」と、負荷の少ない「ゆっくり歩き」を合わせることで、筋力・持久力を無理なく向上させることができるうえ、骨密度の増加や生活習慣病リスクの改善などにも効果があります。また1日速歩トータル15分という手軽さも長く続けることが出来るポイント。体力のない高齢者や、忙しくて時間がとれないという人にもぴったりのトレーニング方法です。
インターバル速歩の効果をあげるためには正しいフォームで歩くことが大切です。速く歩かなければと気が焦り、腰が曲がって前屈みで歩いている方をよく見かけますが、これでは逆に腰を痛めてしまう原因にもなります。
ポイントは下半身より上半身の姿勢です。胸を張って歩く姿勢を身につけましょう。
すり足での速歩は思わぬケガのもとです。カカトから着地して、やがて足裏全体で地面に着くようにしてください。
腕を前後に振りますが、前方に突き出すのではなく、軽く後方に引く感じがよく、こうすることで胸を張った姿勢にもなります。
インターバル速歩は速歩きとゆっくり歩きの繰り返しですが、速歩は各自の歩く最大速歩の70%を目安にしています。熟大メイトをお持ちの方は各自の速歩の速さが熟大メイトに設定されていますが、お持ちで無い方は次の方法を目安にしてください。
普通にウォーキングをして、とってもラク・ラク・ややキツイ・キツイの段階に分けると、ややキツイとキツイの中間ぐらいが、あなたの最大速歩の70%と考えてください。
インターバル速歩は速歩きとゆっくり歩きを繰り返しますが、速歩の合計タイムが15分以上になることを目安にしてください。
高齢者の方にはインターバル速歩の小分け運動を勧めます。1日の間で何回かに分けてインターバル速歩を行い、その速歩の合計タイムが15分以上になるように心掛けてみてください。また、小分けにしても効果に大きな差はありません。それよりも、週4日以上を目安に、続けて行うことが大切です。
熟大がまず取り組んだ方法は1日1万歩のウォーキングを行うというプログラムです。過去9年間で1,800名に及ぶ受講生が行った1年間のウォーキングの効果は意外なものでした。 全体の30%の人が、ほぼ毎日、約1万歩のウォーキングを行いました。このように1年ものあいだ毎日頑張ってウォーキングした人で運動の効果を見てみると、体重・体脂肪率が低下、血圧は正常値に低下、善玉コレステロールが増加、悪玉コレステロールや中性脂肪は低下しました。しかし意外なことに体力面では腹筋力と敏捷性がやや向上したものの、脚筋力や持久力といった介護の予防のために維持・向上したい体力が全く増加しませんでした。
それでは、具体的な方法を説明しましょう。以下にインターバル速歩の方法を示しました。
ここでは、さっさか歩きとぶらぶら歩きをそれぞれ3分間ずつ繰り返すとしましたが、これはあくまでも目標とする目安です。さっさか歩きを3分間続けることが無理ならば、2分間でも良いでしょう。あなたの現在の体力やトレーニング状況にあわせて調節するようにします。
歩きやすく履きなれた靴であればOKです。図に示すような、かかとはクッション性が高いもの、靴底は柔軟性があるものが足首や膝に負担をかけません。 インターバル速歩などのトレーニングには、ジョギングシューズやスポーツシューズをお薦めします。
運動すると汗をかき、水分と塩分が身体から失われていきます。必要な分の水分と塩分をとらないで運動を続けてしまうと、脱水症状や熱中症を起こしてしまい危険です。特に夏場に屋外や気温の高い場所で運動する場合には、水あるいは塩分の入ったスポーツドリンクなどを「10~15分毎に100mlくらいずつ飲む」ように心がけましょう。 特に、高齢者は「のどが渇いた」と思う前に、ちょっと多いかなと思うくらいの量を飲むようにしましょう。なぜならば、歳をとると「のどの渇き」を感じにくくなるからです。若者と高齢者で、暑いところで同じように汗をかいた時に、自由に水を飲んでもらうという実験をすると、若者はかいた汗の量の水を飲みますが、高齢者はのどが渇かないために、かいた汗の半分の量しか水を飲まないのです。