長野県は、全国でも1、2位を争う長寿県(平成12年の平均寿命 男性全国第1位、女性全国第3位)であるとともに、老人医療費も全国最低(平成11年度 全国47位)であり、少子高齢化の進展、医療費・介護などの社会負担の増大、生活習慣病の増加などの問題を抱える日本にとって、今後の「あるべき姿」の一つの例として注目されている。この状況を長野県が将来にわたって維持し続けるためには、従来の医療や疾病の早期発見、早期治療を目的とした集団検診・人間ドックのような取り組みだけでなく、個人の生活習慣を形成する運動、栄養・食生活、休養、メンタルヘルスなどの要因を総合的に管理し改善する「健康づくり」が必要である。
信州大学では、松本市における中高年者の健康スポーツ教室である松本市熟年体育大学を「信州モデル」として企画・立案し、平成9年度より、松本市及び松本市周辺の専門家、企業などと連携しながら、多くの地域住民の健康づくりを支援してきた。また、同様の取り組みを進めようとする全国の自治体、団体、企業などを対象とした「熟年体育大学実践マニュアル」の出版、一般市民向けの公開講座の開催、ホームページの公開、長野県及び松本市との「中高年者の健康スポーツ普及のための推進会議」の発足など、「信州モデル」を広めるための様々な普及活動を行ってきた。
近年、個人の健康に対するニーズが多様化し、数多くの団体、組織から健康や体力を維持・増進するためのサービスが提供される中、「信州モデル」の普及活動をより一層強化・充実させるとともに、信州大学の研究成果から生まれた科学的根拠に基づく有効性の高いサービスを提供する特定非営利活動法人を設立する。
この法人は、中高年者が生きがいを持ち、楽しく毎日の生活が送れる地域コミュニティの形成に寄与することを目指して、健康増進活動を推進している自治体、団体、企業などに対し、「信州モデル」をコアにした指導事業、普及啓発事業、情報提供事業、人材育成事業などの科学的根拠に基づく健康増進(EBH:Evidence Based Health-promotion)事業を展開する。